悩んでいる男性

クラミジアは細菌が原因で発症する性感染症で、主な感染経路は性交渉です。この病気の病原菌は性器や喉(のど)にある粘膜の細胞の中に寄生して増殖を繰り返し、炎症の症状を起こします。日本で最も感染者の多い性病(性感染症)で、性的な活動に活発な若い世代の人の間で感染者・患者が増加している伝染病のひとつです。病気にかからないようにするためには、症状の特徴や病原体の感染経路についての正しい知識を得ておくことが大切です。

クラミジアの種類と症状を知っておこう

クラミジアの病原菌は人の粘膜の細胞に感染するという特徴があり、感染した場所を中心に炎症を起こすことが知られています。病原菌が感染する場所で一番多いのは性器・泌尿器の粘膜で、次に多いのが咽頭部(のど)です。性器や咽頭部以外に、直腸や眼の粘膜に病原菌が感染して炎症を起こす場合もあります。

感染して炎症の症状を起こす部位は、性器・咽頭・目の3つです。病原菌が咽頭部の粘膜に感染すると、風邪をひいたり免疫力が弱くなった際に扁桃炎を発症します。病原菌が眼球の粘膜に感染して増殖をする場合もあり、結膜炎を発症します。結膜炎を放置すると失明の恐れがあり、発展途上国ではクラミジアが原因で失明に至る患者もいるほどです。いずれも放置しても自然治癒をすることはなく、感染した場合は抗菌薬を用いて治療をしなければなりません。

性器クラミジア感染症は、病原菌が性器や泌尿器(主に男性)の粘膜に感染して炎症を起こす病気です。病原菌に感染すると、男性・女性ともに1週間~3週間ほどの潜伏期を経た後に初期症状が発症します。男性と女性は生殖器官の構造が異なるため、発症した際の症状に大きな違いがあります。男女で症状が違うので、同じ病原体に感染していることに気づかないケースが少なくありません。

男性が性器クラミジアに感染して発症すると、尿道の粘膜で炎症が起こって尿道炎を発症します。尿道炎を発症しても強い痛みを感じることはなく、排尿時にむず痒い違和感や軽い痛みを感じる程度です。人によっては排尿時に膿が排出される場合もありますが、約半数の男性患者は自覚症状が出ません。尿道炎を放置すると病原菌は生殖器に向かって移動し、睾丸の入口部分で炎症(精巣上体炎)を発症します。精巣上体炎を発症すると強い痛みや発熱などの症状が出るので、この時点で病気に気づいて病院に行く人がほとんどです。

女性が性器クラミジアに感染すると、まず最初に膣や子宮の入り口の部分で炎症が起こり、膣炎や子宮頸管炎が発症します。ただし子宮の入り口部分は痛みを伝える神経がほとんどないため、炎症を起こしても痛みなどの自覚症状が出ないケースがほとんどです。おりものが増えたり下腹部に軽い痛みを感じる程度で、生理痛と思って放置する患者が多いです。女性患者の8割は、初期症状を発症しても自覚症状が出ないので病気に気づきません。

女性患者が膣炎や子宮頸管炎に気づかずに放置し続けると、病原体は子宮の内部や卵管・卵巣に向かって移動して炎症(子宮内膜炎・卵管炎・子宮内膜炎など)を起こします。妊娠中の女性が子宮内膜炎を起こすと、流産や早産の危険があります。卵管炎を発症すると卵管が癒着してしまい、卵子の通り道が狭くなったり塞がってしまうことで不妊症になってしまいます。この段階まで病気が悪化してもはっきりとした自覚症状が出にくいので、気づかない間に子供が作れない体になっていたというケースがあります。

女性が治療をしないで放置し続けると、病原体は生殖器から腹腔内に移動して骨盤腹膜炎や肝周囲炎を起こします。腹腔内で炎症が起こると激しい痛みや高熱などの症状が出て、救急車で搬送される人もいます。腹腔内で炎症を起こすと、命を落とす危険があります。

初期症状の段階で治療を開始すれば、飲み薬だけで簡単に治すことができます。男性・女性ともに病原菌が生殖器や腹腔内に移動して合併症を起こしてしまうと飲み薬だけで治療をすることができず、長期間にわたり入院して点滴治療を受けなければなりません。

咽頭クラミジアに感染した場合はすぐに病気の症状が出るとは限りませんが、風邪をひいたり免疫力が弱くなった時に扁桃炎を起こしやすくなります。喉(のど)が腫れて強い痛みの症状が出て、高熱が出ることもあります。免疫力が回復したら扁桃炎の症状は収まりますが、治療を受けないと病原菌は残存し続けるので何度も炎症を繰り返す恐れがあります。咽頭クラミジアに感染して放置した場合でも、自然治癒することはありません。病原菌を死滅させるためには、2週間以上にわたり抗菌薬を服用し続けて治療を続ける必要があります。